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目に映るもの

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崖線の譜面

— The Score of Musashino

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想い・自己PR

MUSASHINO ART RAILWAY FESTIVALの「駅とまちをアートでつなぐ」という考え方に、大きな可能性を感じています。駅は多くの人にとって日常的に通り過ぎる場所ですが、その周辺には、その土地ならではの歴史、自然、人々の営み、記憶が重なっています。私は本企画を通じて、府中本町駅を、単なる通過点ではなく、府中のまちの物語に出会う入口として立ち上げたいと考えています。

 

本作品では、令和6年に国天然記念物指定100周年を迎えた「馬場大門のケヤキ並木」を、府中の時間を見守ってきた象徴として捉えます。壁面には、人や馬、旅人、参拝者、現代の駅利用者の足跡を重ね、視覚的な「まちの記憶」として表現します。さらに、その足跡と対応するように、府中のさまざまな「足音」を収録し、語りと音楽による約3分の音作品へと展開します。

 

音作品では、大國魂神社の砂利道を歩く足音、馬場大門のケヤキ並木の歩道の足音、子どもたちの軽い足音、年配の方のゆっくりした足音、下駄・革靴・スニーカーなど履物によって異なる音、馬の足音を想起させるリズム、祭りの日の往来を思わせる人々の足音などを素材として収録・構成します。それらを、100年にわたり府中を見守ってきたケヤキの視点による語り、ピアノを中心とした音楽、足音のリズム/サンプリングと組み合わせ、一本の「足音の音物語」として制作します。

 

本企画の特徴は、参加者が「足跡」と「足音」の両方で作品に関われることです。足跡は壁面に残る視覚的な痕跡であり、足音は音作品に取り込まれる聴覚的な記憶です。子どもから高齢者まで、地域の方々や駅利用者が、自分の身体を通して府中の時間の一部として作品に関われることを大切にしたいと考えています。

 

私はこれまで、音楽、語り、地域の記憶、参加型アートを組み合わせながら、土地の物語を作品化する活動を行ってきました。今回も、作家が一方的に作品を設置するのではなく、地域の方々の痕跡や声、歩く身体感覚を作品の中に取り込み、駅を訪れる人が府中のまちをもう一度歩いてみたくなるような体験を生み出したいです。

 

足跡と足音が、ひとつの「まちの物語」になる。

 

そのような、視覚と聴覚を横断する公共的なアート体験を、府中本町駅から生み出したいと考えています。

作品コンセプト

本作品は、令和6年に国天然記念物指定100周年を迎えた「馬場大門のケヤキ並木」をモチーフに、府中というまちに積み重なってきた人や馬の往来、祈り、暮らし、祭りの記憶を、壁面作品と音作品として立ち上げる試みです。

 

府中本町駅は、武蔵野線の起点でありながら、南武線や周辺のまちへと人の流れが広がっていく場所です。駅の外には、大國魂神社、馬場大門のケヤキ並木、府中宿の記憶、多摩川やハケの地形など、長い時間を抱えた風景が残っています。私は実際に府中市観光情報センター主催の市内観光ミニツアーに参加し、府中の街道や宿場、神社仏閣の歴史を歩きながら伺いました。その中で最も印象に残ったのが、府中の象徴として現れるケヤキ並木でした。

 

本作では、100年にわたりまちを見守ってきたケヤキを、府中の記憶を宿す“語り手”として捉えます。壁面には、上空から見た馬場大門のケヤキ並木をイメージした構成を描き、その上に人や馬の足跡、参加者の痕跡を重ねます。横から眺める並木ではなく、まちを俯瞰するような視点で描くことで、府中に積み重なってきた時間や人の流れを表現します。

 

また、本作品では「足跡」を視覚的な痕跡として、「足音」を聴覚的な記憶として扱います。大國魂神社の砂利道、ケヤキ並木の歩道、子どもたちの軽い足音、年配の方のゆっくりした足音、下駄や革靴、スニーカーなど履物によって異なる音を素材に、語りと音楽を組み合わせた約3分の音作品を制作します。

 

駅を通る人が、壁面に描かれた足跡を見て、QRコードから足音の物語を聴く。そこから、自分もこのまちを歩く一人であることに気づく。府中本町駅を、府中の100年の記憶と、これからの足音が出会う入口として立ち上げたいと考えています。

作品の具体的な内容・手法

作品は、府中本町駅の南武線1番ホームへ向かう2階連絡通路の大壁面を活用し、壁面に直接ペイントする平面作品として制作します。壁面の大きなスケールを活かし、上空から見た馬場大門のケヤキ並木をモチーフに、一本の並木道を俯瞰するような構成で描きます。

使用素材は、主にアクリル絵の具を想定しています。色彩は、府中本町駅のステーションカラーである水色を基調のひとつとし、水色、桃色、黄緑、オレンジ、黄色などの柔らかな色調を用いながら、私自身のアクリル画のテイストを活かした、明るく詩的な壁面作品を目指します。

 

ビジュアルの中心となるのは、ケヤキ並木を思わせる緑の連なりと、そこを通ってきた人や馬の足跡です。横から見た風景ではなく、上空からまちを見下ろすような視点で描くことで、府中の歴史や人の流れを、道の上に積み重なる痕跡として表現します。足跡は、旅人、参拝者、子ども、現代の駅利用者、かつての馬の気配など、さまざまな存在の往来を象徴します。

 

制作方法としては、まず作家が壁面全体の構成をつくり、ケヤキ並木の俯瞰イメージと足跡の流れを描きます。その後、地域の方々や駅利用者、子どもたち等が参加できるワークショップを実施し、「自分の足跡を残す」ことをテーマに、足跡をモチーフとした痕跡を作品へ加えることを検討しています。具体的には、指で足跡を描く、靴をスタンプのように用いる、足跡型のスタンプや型紙を使うなど、安全性と運営条件に応じて方法を調整します。

 

また、ケヤキ並木をモチーフとする作品であることから、実際のケヤキの葉を用いたスタンプ表現も取り入れたいと考えています。地域の方々がケヤキの葉の形や色の痕跡を壁面に重ねることで、単なる装飾ではなく、府中の自然や時間に触れる参加型の制作プロセスを生み出します。かつて馬場があった歴史にちなみ、馬の蹄跡も作品の中に加える予定です。

 

制作過程そのものも、駅を利用する方々が目にすることのできる時間になると考えています。完成作品だけでなく、壁面に色や足跡、葉の痕跡が少しずつ重なっていく過程を通して、駅空間の中にまちの記憶が立ち上がっていく様子を感じてもらえることを目指します。

 

本作品では、足跡を壁面に描かれる視覚的な痕跡として、足音を音作品に取り込まれる聴覚的な記憶として扱います。音作品では、大國魂神社の砂利道を歩く音、馬場大門のケヤキ並木の歩道を進む音、子どもたちや高齢者の足音、下駄・革靴・スニーカーなど履物によって異なる音、馬の足音を想起させるリズムなどを素材として収録・構成します。

 

それらの足音を、100年にわたり府中のまちを見守ってきたケヤキの視点によるオリジナル脚本の語り、ピアノを中心とした音楽と組み合わせ、約3分の「足音の音物語」として制作します。完成した音作品は、壁面作品と対になる体験として、QRコード等を通じて任意で鑑賞できる形式を想定しています。駅空間に直接音を出すのではなく、利用者が自身のスマートフォン等から聴くことで、通行や駅の音環境を妨げない形とします。

 

制作・設置にあたっては、主催者および施設管理者と協議のうえ、指定された施工可能範囲内で実施します。床面や周辺設備への絵具の飛散を防ぐため十分に養生し、通行動線や安全管理に配慮しながら制作します。

ポートフォリオ

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アーティストとしての経歴・活動実績

作曲家・文化設計プロデューサー。音楽、語り、映像、地域文化、参加型アートを横断し、土地や人の記憶を作品化する活動を行っている。自然や場所そのものを劇場として捉える「Nature Theater」を構想し、風景・歴史・人の営み・自然の気配を、音楽・物語・空間体験として立ち上げる表現を探究している。

瀬戸内国際芸術祭では、宇野港オープニングの企画演出を担当し、地域の子どもたちと共に町の歌を制作。発表当日は観客も含めた約600人で大合唱を行うなど、地域とともにつくる共創型プロジェクトに携わった。KSBふるさとソングプロジェクトでは、各学校や地域と連携し、まちの魅力を歌として残し、子どもたちと歌い継ぐ取り組みを行った。ダイワハウスとの「浮世音」制作プロジェクトでは、阿蘇や北海道など各地に滞在し、地域の方々へのヒアリングをもとに、その土地の風景や記憶を映像と音楽の作品へと昇華するアーティスト・イン・レジデンス型の制作を行った。

作曲家として、イブラ・グランド・プライズ(イタリア)作曲家部門名誉賞、ULJUS国際コンクール(セルビア)映画音楽部門第1位を受賞。カンヌ国際映画祭入選作品「ORIGAMI」テーマ曲提供、KSBスーパーJチャンネルのメインテーマ曲担当、NHK岡山「いにしえピアノ」メイン出演、G20会合(岡山)歓迎レセプションでの演奏など、映画・テレビ・国際文化交流・公共性の高い場での音楽制作・演奏を行う。

大阪・関西万博インドパビリオン映像音楽演出、ムーミンバレーパークにおける映像・音・フィンガーアートの色彩を組み合わせた空間演出およびクリエイティブディレクション、第22回岡山芸術文化賞準グランプリ、第1回福武教育文化賞、おかやまアワード2018特別音楽賞などの実績がある。また、視覚表現の活動として、ニューヨークでのポストカード展にも絵画作品を出展している。

近年は、誰でも指で円を描くことができる「フィンガーアート」を通じて、禅、平和、つながり、循環を象徴する参加型アートにも取り組んでいる。本応募では、これまで培ってきた地域共創・滞在制作・音楽化・空間演出の経験をもとに、武蔵野線各駅の土地の記憶を、視覚作品と音の体験へと展開したいと考えている。

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