作品の具体的な内容・手法
サイズ・構成
全体: 縦3,150mm × 横4,350mm
パネル1枚のサイズ: 縦3,150mm × 横1,450mm
枚数: 計3枚
使用素材
塗料: 屋外壁画用シリコン樹脂塗料(耐候性・耐汚染性に優れたプロ仕様)。
基底材: 厚さ3mmのアルミ複合板。
3メートル超のサイズでも、裏面に補強用のアルミ角パイプを組むことで、軽量さを保ちつつ「たわみ」を防止し、平滑な画面を維持する。
制作方法
連結制作: アトリエの床に3枚のパネルを隙間なく並べ、全身を使って描画する。
設置方法・原状回復
支持構造(ベース): 壁面に穴を開けないよう、既存の壁の凹凸や梁を利用した「自立・懸垂式アルミフレーム」を先行して設置します。
低重心・荷重分散:
フレームの最下部にウェイト(重り)を組み込む、または床面の接地面積を広く取ることで重心を下げ、物理的に転倒不可能な構造にする。
脱落防止用ワイヤー(二重安全):
万が一の事態に備え、パネル上部から既存の堅牢な構造物(屋根の支柱等)へ、耐荷重を十分に満たすステンレスワイヤーを張り、二重の落下・転倒防止策を講じる。
パネル固定: フレームに対して、3枚の大パネルを縦方向にスライド、または表面から目立たないビス(塗装済)で固定する。
原状回復: パネルとフレームを一体として撤去できるため、作業時間が短縮され、壁面への接触機会も最小限に抑えられる。
目に映るもの
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玉川上水


作品コンセプト
1.大地の記憶と「青」の循環
私の作品において、「青」は生命の根源である水や空、そして土地の記憶を象徴する重要な色である。
「地脈」を描き出す: 武蔵野線の沿線は、かつての武蔵野の原風景、湧水、そして現代の住宅街が交差する場所です。本作では、アスファルトの下に眠るかつての大地のうねりや、目に見えない風の通り道を可視化することで大地の記憶と「青」の循環を描きたい。
公共作品としての「対話」: ギャラリーに飾る作品とは異なり、駅という公共空間では「通り過ぎる人々」との対話が生まれます。日常の喧騒の中に、ふと大自然の深淵が現れるような、「都市の中の異空間(オアシス)」を感じられるような作品を目指す。
2. なぜ「武蔵野線」なのか:環状の境界線
武蔵野線は、都心へ向かう放射状の路線とは異なり、東京の郊外を円状に結ぶ特殊な路線であるように思う。
境界のダイナミズム: 都市と自然、古くからの農地と新しい物流拠点。これらが混ざり合う武蔵野線沿線は、「生命の境界線」を描くのに適したフィールドだと考える。
「移動」の体験を彩る: 列車が駆け抜ける際のスピード感や、窓の外に流れる風景と呼応するように、流動的な線や色彩で描きたい。
3. なぜ「この駅・このまち」なのか:土地固有の物語
土地の歴史への敬意: 例えば、その駅周辺に古くから流れる河川や、かつて生い茂っていた植物の種類などをリサーチし、それらを抽象化して作品に組み込む。「ここがかつてどのような場所であったか」という土地のアイデンティティを住民に再認識してもらいたい。
コミュニティとの繋がり: 公共作品として作品を設置することは、そのまちに「根を下ろす」ことを意味する。そのまちの光の色や空気感を肌で感じ、そこに住む人々の体温に寄り添うような色彩を選定する。
4. 制作への想いと背景
公共作品として作品に挑む背景には、日本画という伝統的な技法を「開かれたもの」にしたいという強い意志がある。
日常を聖域へ: 毎日の通勤・通学路である駅に作品を置くことで、何気ない日常の中に「畏怖の念」や「安らぎ」を感じる瞬間を作り出したいという想いを込めたい。
アーティストとしての経歴・活動実績
2009 第6回はるひ絵画トリエンナーレ 入選 (はるひ美術館 / 愛知)
2010 第28回 上野の森美術館大賞展入選 (上野の森美術館、京都市博物館)
2011 東北芸術工科大学卒業制作展
日本画コース 最優秀賞 受賞
東北芸術工科大学 卒業、同大学大学院進学
第21期 佐藤国際文化育英財団奨学生選出
第5回 トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展
入選(豊橋市美術館)
漆の芸術祭 2011 東北へのエール (福島 / 大和川酒造)
2012 東北画は可能か? (neutron tokyo)
第2回Next Art展 選出(朝日新聞社・松屋銀座)
第5回アーティクル賞 グランプリ受賞(ターナーギャラリー)
碧い石見の芸術祭 全国美術大学奨学日本画展(島根)
三菱アートゲート関連プログラム ARBION AWARD 入賞
ギャラリーへ行こう2012 入選(数奇和 西荻窪 / 大津)
ART AWARD NEXTⅡ 入選 (東美アートフォーラム)
2013 東北芸術工科大学卒業修了制作展 ( 東京都美術館 )
平成24年度東北芸術工科大学学長奨励賞受賞
アートアワードトーキョー丸の内2013 佐藤直樹賞受賞
神戸ビエンナーレ2013 ペインティングアート部門 奨励賞受賞
中之条ビエンナーレ2013
2014 第4回Next Art展 選出 (朝日新聞社・松屋銀座)
渺渺展(東京銀座画廊・美術館 8 階会場)
ベップ・アート・マンス2014(長寿みそ坂本長平商店・清島アパート)
2015 第4回Next Art展 選出 (朝日新聞社・松屋銀座)
美の予感(高島屋)日本橋・京都・大阪・横浜・新宿・名古屋に巡回
新進芸術家育成交流作品展「FINE ART/UNIVERSITY SELECTION」(茨城県つくば美術館)
別府現代芸術フェスティバル2015「混浴温泉世界」 (末広温泉壁画制作)
アートフェスタinGIFU (岐阜県美術館)
2016 信濃大町芸術文化発信拠点構築事業 あさひAIR 屏風 公開制作 (長野 信濃大町)
斉藤清美術館にて公開滞在制作 (福島 柳津) 同 美術館収蔵
2017 現代美術の新世代展(岐阜・極小美術館)
新宿高島屋美術画廊10周年特別企画 そして広がる(新宿 高島屋)
北アルプス国際芸術祭2017~信濃大町 食とアートの廻廊~ (長野 信濃大町)
2019 VOCA展(上野の森美術館)
OITA ART FESTIVAL2019回遊劇場SPIRALにて壁画制作(大分 大分市)
アーティストインレジデンスつなぎ(熊本 津奈木)
2020 アーティストインレジデンスつなぎの軌跡つなぎダョ!全員集合(熊本 津奈木)
2021 第8回東山魁夷記念日経日本画大賞展(上野の森美術館)
2022 アーティストインミュージアムVOL12 大平由香理 (岐阜県美術館)
都美セレクション 『たえて日本画のなかりせば~東京都美術館編~』(東京都美術館)
2023 大平由香理 個展 波をつなぐ つなぎ美術館(熊本)
岐阜県瑞穂市20周年事業 ココロかさなるCCNセンター作品制作(岐阜)
ハブラボAIR (岡山)
2024 障壁画プロジェクト 旧上吉井家襖絵制作(広島県 竹原市)
公益財団法人吉野石膏美術振興財団 若手美術家の在外研修に対する助成 採択(研修国 アメリカ)
アメリカンドリームフェローシップ 採択
2025 ―無窮の姿―日本画家が描く富士山展 佐藤美術館(信濃町 東京)
アライブ!展 BankART Station(横浜 神奈川)
大平由香理 「地(つち)ならば」 CAFE&SPACE NANAWATA(川越 埼玉)
クレパス誕生100周年近代巨匠から現代作家までのクレパス画展 日南美術館(鳥取)
< 収蔵 >
斉藤清美術館(福島)、つなぎ美術館(熊本)、津奈木町(熊本)、日南町美術館(鳥取)、
竹原市(広島)、ココロかさなるCCNセンター(岐阜) 、UNO hotel (岡山)
< その他 >
2009 山形交響楽団200回公演のためのインスタレーション 立体制作
2010 山形新聞主催 トライ山形 元気フォーラムにてライブペインティング
CONECT企画 音楽イベントCONECT2010@慶昌寺にてライブペインティング
2012 山王アートキャンパス(山形県・鶴岡市)にて滞在制作・展覧会
2014 アーティスト/クリエーターの居住・制作環境 清島アパート入居
2016 あたらしいあそびかいはつクラブ 児童館・児童クラブにてワークショップ講師
みんなの芸術文化体験事業にて障害者支援施設、放課後デイサービスにて
全6回ワークショップ講師(大分)
文化庁 文化芸術による子供の育成事業(芸術家の派遣事業)
2017 みんなのアーツ体験事業にて全3回の講師(大分)
別府市社会福祉協議会研修会にて講師
2018 第20回CSデザイン賞 準グランプリ受賞 (ディレクター、デザイナー)
2020 水産加工場 平国丸壁画制作(熊本)
大分県立美術館開館5周年記念カドウ建築の宴(大分)
Regain! Oita Art Series ×たけいろ (日本画家大平由香理・竹工芸職人近藤雅代)
大分空港(大分)
森の小さな図書館プロジェクト(熊本)
2023 艇庫壁面制作(熊本)
2025 市営温泉 不老泉 作品制作(別府市 大分)
岐阜県瑞穂市PR大使就任
想い・自己PR
私はこれまで、日本画の伝統的な素材を用いながら、その土地に眠るエネルギーや水の流れ、すなわち「地脈」を可視化することに心血を注いできた。
武蔵野という土地は、かつての原野の記憶を、玉川上水という「水の筋」によって繋ぎ止め、現代の都市へと昇華させてきた稀有な場所である。鉄道という「現代の動脈」が交差する駅舎に、私はかつての武蔵野が持っていた野生の力と、玉川上水の静謐な流れを作品として刻みたいと考えている。玉川上水という、かつて江戸を潤した命の道。その記憶を、武蔵野線という現代の要所に定着させる。私の筆致が、このまちの新たな誇りとなり、行き交う人々の心に深く流れ込 むことを切に願っている。